samehada_restartの日記

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SONY TCD-D7 用の電源

色々なところで見られる「入手したぞ、修理したぞ、ドヤ!すごいだろ!」的な内容には辟易してるので、違う観点での内容を記録するように。但し内容の濃淡は問わず。

「日記を公開してるのは承認欲求のあらわれ」なのは否定できない。

 

状態の良いTCD-D7を入手できたので、電源について色々と考える事に。不動品だったので簡単なメンテナンスを行ったが、当該機種のメンテナンス内容はパターン化されていて記録を残す意味もないので割愛。(当該機のメンテナンス記事で価値があると考えていたのは、すばる氏のサイトであったが閉鎖されてしまった模様。DATなんぞに需要はないから仕方がない。)

TCD-D7で一般的に使用されている純正のACアダプタ(AC-E60L)の出力は6V/650mAである。それ以外の方法を試すのだが、文字通りWALKMANとして使う前提で考える。エネループを予備含めて持ち歩けば終わる話かもしれないが電池4本の入替が手間である。最近はスマートフォン用に持て余しているモバイルバッテリーがあるので、それを有効活用するのをゴールとする。 


検証1

LANMU USB 5V-6V DC電源供給ケーブルを試す。

これは単三電池x4本の代替えを意図してる物らしく、以下の組合せである。

  • USB-Aコネクタを持つケーブル、出力に標準5.5/2.1のDCプラグ付、USBコネクタ部に6Vへの昇圧回路を内蔵
  • ダミー電池(A) ... スリムケーブルが付いておりDCジャック付、上のケーブルと接続して使用、それ以外は(B)と同じ
  • ダミー電池(B) ... リード線代わり、数合わせ(3本)

中国製だが、ダミー電池に「充電するな」の刻印が英語とドイツ語でされているので余計な詮索をしてしまう。ともかく、1番目のケーブルがあれば6Vを得られるので、その出力を電圧区分2のDCプラグに変換して使用する。


1A出力可能なUSB電源アダプタに接続して確認した結果は以下の通り。

  • 再生/FF/REWの動作はできるが、FF時にblank表示して止まることがある (※1)
  • テープ挿入〜ロード~再生する時に動作できずリセットのような挙動をする場合がある、アンロードも上手く動かずテープが痛むことに
  • いくつかのテープでドロップアウトが発生(発生個所は毎回同じ)(※2)

(※1) テープパスの問題の可能性を考えて調整したが、頻度は減れど解消せず
(※2) 試しにTCD-D3(2台)で確認したところ、ドロップアウトは全く発生せず

手持ち機材のテープパスが完璧である保証はないが、一定の条件で(破綻しない程度には)合わせてはある。某プロの言うように、きちんと調整すればドロップアウト問題は解決する可能性もあるが、それはそれでシビアすぎて「物売るってレベルじゃ・・・」。

一連の挙動を見るに、パワー不足(電流不足)なのだろうと推測するが、「リセットのような挙動」は状態の悪いテープや記録無し部の読取でも起きる事があるので断言はできない。


検証2

PDにより9Vを取得し、それを6Vに降圧する。
使用したのは以下のもの。

PDトリガーデバイスはトリガーケーブルでも良い(写真は9V/3Aのトリガーケーブル)。今回は見識の浅い段階でTCD-D3用として入手した物を使って検証。DCDC は1A以上供給可能なものとして選定(当該品は3A出力対応)。上手く動くのであれば、最終的にはトリガーケーブルと組み合わせて使いたいのと、面倒な作業をしたくなかったのも選定理由。

 

確認した結果、検証1のような現象は全く発生せず。検証1でドロップアウトの発生したテープも、ドロップアウトすることなく再生できた。


結論(推測を含む)

  • TCD-D7の消費電流(6V供給時)は、再生時は平均500mA以下であるが、ロード/アンロード時に700mA以上となる場合がある。TCD-D7を不満なく使うのなら6V/1A以上の電源を使うのが望ましい。中古品に付属してる純正のACアダプタ(6V/650mA)は、その仕様通りであるなら使わない方が良いかもしれない。ACアダプタ出力には余裕があるとは思うが、如何せんコストダウンのために大事なものを犠牲にすることが常のSONY製品であるし、経年劣化でTCD側の消費電力が増してる可能性もある。
  • 電流不足の状況になると、一見普通に動作してるようであっても読取エラーが発生してドロップアウトが発生する(模様)。ヘッドの読取時の問題なのかエラー訂正の問題なのかは分からないが、テープ状態に依存する事は確かである。運や相性も左右するだろう。
  • 検証1のケーブルは最大出力500mAと予想される。USB規格を考えれば理にかなってるのだが、TCD-D7に使うのは厳しいという結論。そもそも当該ケーブルを頻繁に動かすような物に使うことは想定外であろう。
  • エネループ等のニッケル水素バッテリーは、最大出力1.5Aらしいのでパワー不足にはならないと思われる。乾電池でもアルカリなら問題ないだろう。
  • 検証2の方法はトリガーデバイスでなくトリガーケーブルを入手すれば、あとはDROKのDCDCにDCプラグとDCジャックを取り付ければ良く、ハンダ作業だけで済むので簡単である。因みに、トリガーケーブルはヤフオクで売られてる物が安価であった(2023/10時点)。
  • 本項の内容は、TCD-D8にも当てはまると予想される。TCD-D3の場合はDC入力は6~9V対応であるが、D7/D8よりも消費電力が大きいこともあり、無理に電圧変換することなくPD(9V)取得をそのまま使えば良い。
  • DCDCで降圧するのなら、PDからは12V以上を取得する方が良いかもしれない。但し、PDの12V, 15Vについてはメーカー/製品により対応しない場合があるし、20Vは電圧差が大きすぎて損失(発熱)の度合いが気になる。自分自身の場合は、TCD-D3用に9Vが必要であり、同じようなケーブルが複数あると間違えそうなので9Vとした。

 

余剰在庫と化したモバイルバッテリーの活用を考えていたが、PD非対応品では無理という結論に。流石に「5V以下&500mA以下」という縛りだと WMD-DT1 以外は無理か。

なお、WMD-DT1については、3.3Vに降圧して念のためSBDを入れれば、500mA以下の供給源(PD非対応品)でも問題なく使える。エネループよりもFF/REWのパワーがあってなかなか良い。